Silicon IP Cores
Why is the network "TSN" required in the IoT era?
IoT時代に求められるネットワーク「TSN」とは
Authored by EIPC, Japan. Visit the English translation
IoT時代に求められるネットワーク
IoT時代が到来し、あらゆる機器がネットワークにつながり、クラウド上のサーバにデータを集約・解析し、機器同士が連携する時代がすぐそばまで来ています。このIoT時代に必要となるネットワークには(1)データ伝送のセキュア化、(2)リアルタイム性の実現の2つの要素が求められています。
(1)データ伝送のセキュア化に関しては、今まで工場や企業内の限定的なネットワークで利用されていたデータがクラウドのような外部ネットワーク上を流れるようになる点で必要とされています。
(2)リアルタイム性の実現に関しては、遅延に対しての制約が大きいネットワークと、遅延が許されるネットワークを1つにまとめたいという要望から求められるようになっています。もともと工場内機器や列車、自動車等で利用されているアクチュエータ、センサ、コントローラなどをつないで遅延に厳しい制御(リアルタイム性)を実現する産業用ネットワークと、これらを保守運用するWEB、電子メールといった遅延を許容できる情報系ネットワークが存在します。IoT時代では、この2つのネットワークを1つのネットワークにまとめて、シームレスなアクセスを可能とすることで生産性、安全性、保守性、品質の広報、省エネルギー化、低コスト化などを狙っているのです。このネットワークとして注目されているのがTSNです。
TSNとは
TSNとはTime-Sensitive Networkingの略で、標準のイーサネットを拡張する産業用ネットワークと情報系ネットワークを相互運用するためのネットワーク技術となっています。イーサネットをベースにしながら時間の同期性が保証されており、リアルタイム性を担保できるネットワーク規格の「IEEE 802.1 AS-Rev Timing and Synchronization for Time-Sensitive Applications」にて仕様が定義されております。車載でも使用されている標準イーサネット規格であるEthernet AVB(IEEE802.1 Audio/Video Bridging)を拡張したもので、10Gビット/秒の帯域幅や、1マイクロ秒以下の低遅延の実現を目指しています。
イーサネットがベースとなっているため、他のネットワークと比較して速度面においても100Mbps,1Gbps,10Gbps,最近では100Gbpsの製品も登場してきておりますし、普及率においても幅広く普及しており、既存のネットワークや既存のハードウェアを利用することが可能なため、導入コストを抑えることが可能となります。異なるベンダー(機器製造メーカ)のオートメーション環境の橋渡しをする標準化の足回りの規格であるOPC-UAでも採用する方向で進んでおり、幅広く採用される要素を秘めたネットワーク技術となります。
TSNの実装
TSNを実装するには、機器間の間で低レイテンシーで応答可能なアーキテクチャが必要となります。またTSNが今後10Gbps、50Gbps、100Gbpsとアップデートしていくことを考えて、CPUとFPGAを組み合わせ、PCI Express等の高速インタフェースで接続するアーキテクチャを採用するケースが多いように思います。昨今ではARM CPUを搭載したFPGAが出ており、これらFPGAはTSNを実装する上での1つの解決策になるかと思われます。
EIPC会員でありASIC/FPGA用のIPベンダーであるCAST社は、Time-Sensitive Networking(TSN)イーサネット規格をサポートするエンドポイントコントローラーを実装する新しいIPコア「TSN-SE」の提供を開始しています。このIPコアは、タイミング同期(IEEE 802.1AS)、トラフィックシェーピング(IEEE 802.1QavおよびIEEE 802.1Qbv)、フレームプリエンプション(IEEE 802.1QbuおよびIEEE 802.1Qbr)のためのハードウェアスタックと低遅延イーサネットMACが含まれています。Verilogソースコード、またはIntel、ザイリンクス、ラティス向けFPGAデバイスのターゲットネットリストとして提供されており、実装に必要となるサンプルスクリプト、テストベンチ、ドキュメントなどが準備されています。産業業界や自動車業界といった組込み機器に最適です。TSNの実装を考えている方は、一度詳細を確認してみてはいかがでしょうか。